「リクエスト」から焼け木杭に火がついた竹内まりやへの憧憬が、このアルバムでピークに達した。それほど溺愛し、繰り返し聴いている。ボクが初めて自分の小遣いでレコードを買ったのは多分中学2年生の時でボビー・ソロの「砂に消えた涙」。なんとボクはカンツォーネ大好き少年であった。そして1965年のサンレモ音楽祭。我が伊藤ゆかりさまが振り袖姿で歌った「恋する瞳」。もちろん今もそのドーナツ盤がレコードラックのどこかで密かに眠っているはずなのだが・・・。その後CDで感動の再現をと探し求めたけど、同じアレンジのものは見つからずじまい。そして、40年の歳月を経て、まりやのこのアルバムで再びあの頃の感動を味わうことができたわけである。
このアルバムのすばらしさは、原曲に忠実なアレンジで懐かしさを演出しながら、紛れもなく竹内まりやその人のアルバムに仕上がっていることである。やはり夫、山下達郎は天才であると改めて納得した。
[竹内まりや(Mariya Takeuchi)「リクエスト」(1987年)]