この時期は、せわしなさと寂寥が一緒くたになって、ボク的には一番厭世的になる確率が高い。だから、こういう夜にはなにも考えず、安心して音楽の中に埋もれるお気に入りのアルバムを聴くことにする。で、選んだのはこれ。実はダイアナ・クラールを最初に耳にしたのがこのアルバムであり、ボクの中ではいまだに彼女のベスト・アルバムだと信じている。軟弱でも何でも良い。この心地よさは冬の日の縁側に干した布団の匂いのようで、ただ黙って包まれていればよいのだ。
[ダイアナ・クラール(Diana Krall)「オンリー・トラスト・ユア・ハート」(1995年)]