桃井かおり（Kaori Momoi）「もう頬づえはつかない」（1979年）

殆どボクと同世代の女優・桃井かおり（1952〜）が今も第一線で活躍しているのは御同慶の至りである。なんだかんだとATGを揶揄しながら、実のところリアルタイムで観た日本映画の殆どがATG作品だった。その中の何本かに桃井かおりが出演していた。シラケ世代を体現しているかのような彼女の評価は、今となっては気恥ずかしい。そのシラケ世代と呼ばれた人たちは、今や殆どがこの国を滅亡へ導く魑魅魍魎な狸爺たちのお先棒を担いでいる。と、決して本物の狸を冒涜している訳ではないのであしからず・・・。
さて、東陽一監督のこの作品で桃井かおりは早大文学部に通うまり子を、殆ど素で演じている。奥田英二（橋本）、森本レオ（恒雄）というこれまた殆ど素なダメおとこたちに翻弄されながら、やがて二人を棄てて自立していく姿は清々しい。
それにつけても、悲しいかな、世の男たちはこの四半世紀前の頃から今日まで相変わらず自立できていないでいる。

冒頭のまり子のアパートの窓辺のシーン。この眼差しだけで、ボクは切なくなる。



一番始末の悪いインテリダメおとこ・恒雄を森本レオが好演！って、嵌りすぎ？！



まり子と寝ることしか頭にない橋本。確かにこういうおとこたちが今の日本の三流以下の政治やメッキのはがれてしまった一流企業の中枢にいる訳です。




恒雄の子を中絶するまり子。
病院から戻ってきたまり子は・・・。
二人のおとこたちとの関係を清算して、明日に向かって歩き出すまり子・・・。