日本映画界における魔女の草分けといえば、ボクは臆することなく原節子(1920〜)を名指ししたい。1951年の黒澤明作品「白痴」における原節子の何かに憑かれたような演技と、カメラマン・早田雄二が撮ったあの有名な雪の中での黒いマントをまとった原のスチール写真を見れば一目瞭然であろう。
さて、前置きはここまでにして中山貞雄の「河内山宗俊」である。結果的に中年不良の河内山宗俊と金子市之丞という二人の男を死へ向かわせるお浪を、まだ15、6歳の原節子が演じている。まだ初々しく、可憐な原は宮崎駿の「魔女の宅急便」のキキのように、魔女の修行中なのであった。

やくざの用心棒の浪人・金子市之丞はなにかとお浪に親切・・・。

河内山宗俊とお浪が初めて出逢う。

遊び人の弟・広太郎を捜すお浪。

自分を巡る河内山宗俊と金子市之丞のけんかを止めようとして、お浪は指に傷を負う・・・。

たった一人の身内の弟・広太郎が・・・。

自分勝手な広太郎を殴ったお浪だったが・・・。

外には綿のような雪が・・・。