思えば「眺めのいい部屋」(1986)で聴いたキリ・テ・カナワ(1944〜)のプッチーニのアリアからボクのオペラを巡るささやかな旅が始まったのだが、このカール・ジェンキンス(1944〜)が作・編曲した楽曲を歌ったキリ・テ・カナワの最新のアルバムは、ボク的には今年一番の収穫になりそうな素晴らしい出来である。
70年代、イギリスでジャズとロックのクロスオーバーを志向するユニークな存在だった“ソフト・マシーン”のカール・ジェンキンスは、90年代後半以降クラシカル・クロスオーバーなアディエマス・プロジェクトを展開。これはその一つの結論と言えるのではないだろうか。
なんと言っても聴きものは4曲目のカールのオリジナル“Antema Africana”におけるアディエマス・シンガーズ(9人のフィンランド女性たち)とキリのコラボレーションだろう。これはもう感動するしかない!