今はなきジャズスポット、三田倶楽部に木住野佳子のピアノトリオを何度か聴きに行ったことがある。
知人から、たまにはジャズでも聴きに行こうという話になり、彼が会員になっていたスウイングの三田倶楽部で美人のジャズピアニストを聴いて、とても良かったという。日本のジャズの現状には疎かった僕は言われるままに、その美人のピアニストを見に行くことにした。
演奏の時間になり、彼女はふらりと現れピアノの前に座った。確かに美しい!知っているスタンダードナンバーから演奏が始まった。彼女より遙かに年輩のベースのおじさんと、ドラムのおじさんをリードしながら、時にはダイナミックに、あるいは繊細に、変化するピアノ。実に華麗で色彩豊かなな演奏はとてもカッコ良く、久しぶりにジャズを堪能することができた。
彼女のアイドル、ビル・エバンスへの想いが、彼女の中で咀嚼され、消化され、木住野佳子的感性へと昇華した、そんなアルバムである。