先日久我山散人が「年末まで一気に好きなDC聴く」の第4弾として、ペドロ&カプリシャスの初代ヴォーカリスト、前野曜子(1948〜88)を書きたいと言いながら書いていなかったので、それならボクがとしゃしゃり出てみた。ボクの手持ちとしては松田優作主演、村川透監督による角川映画『蘇える金狼』(1979)で、その主題歌を前野曜子が歌っていた。
そして、多分それが縁で映画出演となったと思われる、同じコンビによる角川映画『野獣死すべし』(1980)(うーむ、どこに出ていたのか記憶にございませんが)・・・それでは今一度女優・前野曜子を堪能しましょ。
さて、オープニングのクレジットはなかなか堂々としていて期待できそうかな?因みに彼女の役名は沙羅。ところが一通り観て、実はどこに出ているのかわからず、再度つぶさに(これがなかなかしんどかった!)観返してみて、きっとこれでしょとスクリーンショットしてみたのがこれ。
左のカウンターの中で鹿賀丈史にお酌しているのが前野曜子でしょ?
てっきりお酌していると思ったら、自分で飲んでました・・・うぷぷ。
視線を感じて振り返った鹿賀丈史が威嚇しているのがこちらに背を向けた松田優作。
松田優作は実は銀行強盗の相棒をリクルートしに来ていた。
この間、前野曜子は一言もしゃべらず・・・視線で演技!?
その後、同じクラブで酔っぱらいながら前野曜子は黒人霊歌の“Sometimes I Feel like A Motherless Child”を口ずさむのだった・・・
口ずさんでいる・・・
まだ口ずさんでいる・・・
勿論酔っぱらって、まだまだ口ずさんでいる・・・
終始背を向けた松田優作と終始顔を向けた鹿賀丈史の会話をBGMに、前野曜子の酔って千鳥足の後ろ姿の演技が・・・
・・・カーテンの向こうに消えて、終わった・・・
さて映画の方だが、主演の松田優作についてはこの映画の役作りのために体重を10kg落としたり、頬を痩けさせるために奥歯を抜いたり、身長が高すぎるから5センチ足を切断したいと言ったとか言わないとか色々な逸話が残っていて彼の狂気の演技が高く評価されているようだが、彼が狂気にのめり込めばのめり込むほどボクには嘘っぽく感じられ、はっきり言ってつまらなかった。『蘇える金狼』の方が遙かに面白いし、松田優作の狂気で言えばリドリー・スコットの『ブラック・レイン』で彼が演じた若きヤクザ・佐藤浩史の方がよっぽど怖かった。